不動産売却における「契約不適合責任」とは?瑕疵担保責任との違いについても解説!
不動産の売却には多くの知識を身につけておくことが重要です。正しい知識を身につけておくことで、円滑に手続きが進められたり、売却時のトラブルを予防したりできます。今回は、契約不適合責任について解説します。安心して売却手続きをするためにも不動産売却を検討中の人は参考にしてください。
契約不適合責任とは?
契約の内容と一致しない商品を引き渡した場合に売主が問われる責任のことをいいます。任意規定であり、契約内容は売主と買主の間で決めることが可能です。責任を追及できる期間は問題となる内容や取引先によって異なります。追及できる期間について詳細に解説します。
種類や品質の不適合
買主が問題に気づいてから1年以内が追及できる期間です。不適合の知らせをすれば、具体的な要求は通常の消滅時効まで行えます。通常の消滅時効は、権利を行使できると知った時から5年間、権利を行使できるときから10年間です。
数量や権利の不適合
数量や権利の問題の責任が追及できる期間は通常の消滅時効になります。つまり、権利を行使できると知ったときから5年間、権利を行使できる時から10年間になります。
取引相手が業者の場合
買主が業者である場合は、個人の一般消費者とは異なる規定があるため注意です。商人間の売買については、買主は取引後、すぐに取引した商品の検査をする必要があります。検査で問題があった場合は、すぐに売主に知らせないといけません。仮に対応が遅れた場合、責任を追及できないため注意が必要です。
契約不適合責任と瑕疵担保責任は何が違う?
契約不適合責任は瑕疵担保責任に替わってできました。ここでは契約不適合責任と瑕疵担保責任の違いを説明します。
問われる対象
瑕疵担保責任は特定のものに限定されて問われます。一方、契約不適合責任は特定のものに限定されておらず、瑕疵の有無も含めて契約と一致しているかどうかで責任を判断されます。
請求できる内容
瑕疵担保責任は損害賠償責任と契約解除の2つが請求できます。契約不適合責任は2つの請求に加えて、追完請求と代金減額請求の計4つの請求が可能です。
請求できる期間
瑕疵担保責任は欠点や欠陥に気づいたときから1年以内に権利行使をする必要があります。一方、契約不適合責任は原則として問題に気づいてから1年以内に不適合の旨を知らせればよく、権利の行使は1年を過ぎていても可能です。
契約不適合責任で買主が主張できる権利
具体的に買主はどのような主張ができるのかを解説します。売主も負うべき責任は何かを知っておきましょう。
追完請求
目的物の補修、代替物の引き渡し、不足分の引き渡しのいずれかを追加で請求し、契約内容に適した状態で引き渡しすることを求めることが可能です。どの方法で請求するかは買主が決めます。ただし、売主が買主に不相当な負担をかけない場合は、買主が請求した方法と異なる方法で追完することが可能です。
代金減額請求
買主は問題の程度に応じて代金の減額を請求できます。しかし、問題の原因が買主にある場合は減額を要求できません。代金の減額を求めるにはいくつか条件があるため、契約内容の確認が必要です。
損害賠償請求
契約の不適合によって生じた損害について金銭の支払いを請求できます。追完や代金減額を求めた場合でも、別で損害賠償も合わせて要求です。
契約解除
契約をなかったことにできます。債務すべての履行が困難な場合を除き、原則として先に履行の催促をしますが、一定期間を過ぎても履行されない場合は契約解除が可能です。ただし、債務の不履行が軽微である時は解除できない場合があります。
契約不適合責任に関する注意点
不動産売却において、責任を問われるリスクを減らすためのポイントを3つ紹介します。
売却する不動産の状態把握
インスペクションを利用して売却予定の不動産の状態を把握しておくとよいでしょう。売買契約をする前に専門家に建物の現地調査をしてもらい、建物の基礎から土地の状態まで何らかの問題がないかを把握し、事前に契約書に記載しましょう。
通知期間の設定
通常、不適合について知らせるのは1年以内ですが、売主と買主双方の合意があれば自由に通知期間を決められます。長期間にわたって責任を求められることがないように通知期間を決めておくとよいでしょう。
免責特約の締結
売買契約時に契約書に特約や容認事項を記載しておきましょう。双方の合意のうえで、売主が背負う責任を決めておきます。その際に特約を締結しておくことで、取引後に責任を問われても免責が可能な場合もあり、トラブルを予防することが可能です。
まとめ
今回は、不動産売却において必要な知識のひとつである契約不適合責任について解説しました。不動産を売却できても、責任を問われるようなことがあっては困ってしまいます。契約不適合責任は不動産の売却では知っておくべき重要な項目です。売主が負う責任やリスクをどのように減らしておくかを知り、取引後のトラブル予防のための準備をしましょう。安心して不動産売却をするためにも多くの知識を身につけておくことが大切です。