マンションを売却した年も住宅ローンの控除は適用されるの?
現在マンション売却を検討している人の中には、「今後も住宅ローン控除を受けたい」と思っている人がたくさんいると思います。しかし、新しく購入した家で引き続き住宅ローン控除を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。今回は、マンションを売却してもそのまま住宅ローン控除を受けられるケースについて詳しく解説していきます。
住宅ローン控除は適用されるのか
住宅ローンの控除は適用されるのかについて解説します。
■売却損が出た場合は適用される
マンション売却によって損失が出た場合は、住宅ローン控除の適用が可能です。売却損になっているかは「譲渡損益=売却価格-(取得費用+売却費用)」の式で計算します。
この計算式の結果がマイナスになっていれば、売却損が発生しているため住宅ローン控除の適用を受けることができます。首都圏の好立地のマンションなどでなければ、一般的にはマンション売却は損失となるケースがほとんどです。そのため、マンション売却をした人の多くは引き続き住宅ローン控除の適用を受けています。
■売却益が出て、他の特例を利用すると適用できない
一方で、計算式がプラス、つまり売却益が出ている場合はどうなるでしょうか。結論から言えば、譲渡所得の特例を使う場合、住宅ローン控除を受けられません。マンションの売却益は税務上では譲渡所得と呼ばれ、所得税の対象となります。この譲渡所得税は、場合によっては税率が30%以上になるケースもあります。しかし、国は税率によって住宅の買い換え意欲がそがれないように、さまざまな税制面での特例を設けています。
もし、あなたがマンション売却による譲渡所得で何らかの特例を利用すれば、住宅ローン控除の適用は不可になります。特例活用による節税メリットと、住宅ローン控除による還付金メリットのどちらの効果が大きいかは、素人では判断が難しい問題です。この問題については、近くの税務署か税理士への相談をおすすめします。
適用されるには一定の条件を満たす必要がある
マンション売却によって損失が出たとしても、それだけで100%住宅ローン控除が受けられるわけではありません。今から挙げる条件を満たす必要があります。
■新築物件に住み替える場合
住み替える家が新築物件である場合は、以下の五つを満たしている必要があります。
1.新築または取得から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日時点でも住んでいる。
2.控除を受ける年の合計所得が3000万円以下である。
3.床面積が50㎡以上であり、面積の半分以上が居住用である。
4.住宅ローンの返済期間が10年以上である。
5.住み始めた年と前後2年の合計5年の間に、マンション売却に伴う特例を使っていない。
■中古物件に住み替える場合
住み替え先が中古物件の際も、新築と同じように以下の条件を満たさなければなりません。
1.取得から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日時点でも住んでいる。
2.控除を受ける年の合計所得が3000万円以下である。
3.床面積が50㎡以上であり、面積の半分以上が居住用である。
4.住宅ローンの返済期間が10年以上である。
5.住み始めた年と前後2年の合計5年の間に、マンション売却に伴う特例を使っていない。
6.新たに取得した物件が築後20年以内(マンションなどの耐火構造の場合は築後25年以内)、または耐震基準に適合している。このどちらかを満たしていること。
中古物件の場合は、新築の条件に加えて物件の築年数または構造基準が追加の条件となっているので注意が必要です。
ほかの控除や特例と併用できる場合がある
売却益が出ている場合は、他の特例との併用はできないと説明しました。しかし、売却損の場合では合わせて利用できる特例があります。その特例を二つご紹介します。
■マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
この特例は同じマンションに5年以上居住した後、新しい物件に買い換えした場合に適用されます。また、住宅ローン控除の条件と同様に、買い替え後の住宅ローンの残存期間が10年以上あることも条件です。売買によって生じた譲渡損失は全額返還される嬉しい特例です。
■特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
売却によって生じた損失を給与所得や事業所得などのその他の所得から控除することができる特例です。この特例のポイントは、新しい物件に買い換えなくても適用を受けられるというところです。マイホームを売却して、賃貸物件へ引っ越した場合や両親と同居となった場合でも特例の対象となります。また売却物件には5年以上住んでいなくてはいけないという条件は買い換えのときと変わりはありません。
マンション売却後も住宅ローン控除が受けられるかは売却で利益が出たか、損失が出たかによって変わってきます。利益が出た場合は、他の特例とは併用不可のため、最も得になる選択肢を見極める必要があります。
一方、損失が出た場合は引き続き住宅ローン控除の適用を受けられます。さらに、特例によっては併用が可能なものもあります。現在、マンション売却を検討している人は、自分がどのパターンに当てはまりそうかを確認して、慎重に判断するようにしましょう。